ハイドン研究室

交響曲の部屋

BGM/Haydn Symphony No.61 4th mov.

ここでは、フィルハーモニア版交響曲全集の日本語版(音楽の友社刊行)を基本的な資料とし、同全集に収められた107作品について、1曲ずつのデータを表にしてあります。
なお、データは、研究が進むにつれて、必要に応じて書き換える可能性がありますので、予めご了承下さい。


目 次


表の見方について

番号、調性、副題

交響曲については、1番から104番までの通常使われている番号を採用しています。後から研究家ホーボーケンによってリストに加えられた107番、108番はフィルハーモニア版の表記に従って“A”、“B”とし、105番は協奏交響曲としました。なお、106番は1楽章のみ現存している曲で、フィルハーモニア版には掲載されていません。107曲の中には、協奏交響曲をはじめ、交響曲の分類に疑問のある作品も含まれていますが、それぞれ注釈として書いておきました。また、他の分類になっているけれど、実質は交響曲と考えて良い作品(スケルツァンド、序曲等)もありますが、現時点では割愛させていただきます。この107曲の全てがハイドンの真作である事は、ほぼ確認されています(他のジャンルでは贋作が見つかったりしています)し、未知の作品が発見される可能性も低く、作品の全貌がほぼ解明されているジャンルであると言えるでしょう。副題は、ごく1部の作品を除いて、ほとんどが作曲者の意図しないニックネームです。本来は書くべきではないのかも知れませんが、さすがに曲数が多いですし、ニックネームで曲を特定する事自体昔から習慣的に行われていますので、むしろ書くべきでしょう。通常よく使われている邦題を採用してあります。

編成

基本的な編成は、オーボエ、ホルン各2本、ファゴット、弦5部と考えられます。これは、ハイドンが長年勤めたエステルハージ侯爵の楽団の、ハイドン就任当時の基本編成と合致しています。第22番だけはオーボエの替わりにイングリッシュ・ホルンが使われていますが、当然オーボエ奏者が持ち替える事になります。基本編成に加えられる個々の楽器についてですが、フルートはオーボエ奏者が持ち替えるように意図されていると判断出来る曲は、(括弧)を付けました。括弧が付いていないのは、専門のフルート奏者が必要であることを意味します。エステルハージ侯爵の楽団には一時フルート奏者が在籍していた事が確認されます。ファゴットは通奏低音として扱われている場合は(括弧)、一部独立している場合は[括弧]、と括弧記号を分けています。完全に独立しているものは括弧を付けてありません。また、初めから2本で演奏するように意図されている曲もありますし、1本用の曲も、通奏低音ならば2本でのユニゾンも可能です。ホルンは一部の曲で4本使われています。トランペット(クラリーノ)2本とティンパニは、一組として使用されるのが原則と考えられます。なお、チェンバロについては、当時ハイドン自身はチェンバロの前に座り、弾きながら指揮をとった事が確認されています。しかし、曲調を見ていくと、必要な曲、可能な曲、不要の曲の3つに分類して考えるのが適当であると判断出来ます。ここでは、曲調に従って、独断で判断したものを書き添えてあります。

楽章データ

各楽章のデータの内、調性2は、主調以外の重要な調で、ソナタ形式の第2主題の調、2部形式の前半の一段落する調、及び3部形式のトリオ部分の調等を意味します。曲によっては複数あります。形式につきましては、便宜上、小ソナタ(初期のバロック的な要素を含むもの)、中ソナタ(中期の実験的なもの)、大ソナタ(後期の完成した形のもの)と分類いたします。この分類は、一般的な用語とは異なっています。なお、純粋にバロック風のソナタの場合(ほとんど2部形式に近いものです)、特にバロック・ソナタと記入してあります。

作曲年

作曲年は資料で確定できるものは、括弧無し、ほぼ間違いなく推定されるものは[括弧]、未確定なものは(括弧)で書いてあります。作曲順の項目は今の段階ではおおよその目安にすぎません。曲順を判断できない複数の曲は(括弧)付きで、同順位として扱っています。しかし、この目安はかなり理解の助けになると思いますので、敢えて記入いたしました。時代区分は、ハイドンの創作期を5つに区分して考えています。これも、あくまでも曲調から判断いたしましたので、年代的にはいくぶん錯綜が見られます。

  1. 〜1762(30歳)
    初期のまだバロックの香りを残している時代。
  2. 1763(31歳)〜1768(36歳)
    古典派の様式がだいたい定まった時代。
  3. 1769(37歳)〜1773(41歳)
    シュトゥルム・ウント・ドランクと呼ばれる時代。この時期は非常にロマン的な香りの高い作品が多く書かれています。
  4. 1774(42歳)〜1781(49歳)
    簡潔で、親しみやすい音楽に変貌した時代。この時代の作品が当時はとても好まていました。
  5. 1782(50歳)〜
    作風の集大成の時代。過去のいろいろな要素が顔をのぞかせてきます。現代において有名な作品は概ねここに含まれてきます。

特徴

特徴には、様式や年代を推定するのに手掛かりになると思われる点等に付いて、記入してあります。中でも同主短調への転調は、他の作曲家にはあまり見かけない手法と思います。

おすすめランク

おすすめランクは、現代人の耳に馴染むかどうかを基準として考え、独断ではありますが、A〜Dの4段階に分類してあります。これから聞いて見ようとお考えの方は参考にして下さい。なお、よく知られていると判断出来る作品は無条件にAランクに分類してあります。