ハイドン研究室

弦楽4重奏曲の部屋

BGM/Haydn String Quartet No.57 4th mov.

弦楽4重奏曲の場合は、手持ちの資料としての楽譜は一貫していなく、音楽の友社版、日本楽譜出版社版、から始まり、フィルハーモニア版、オイレンブルグ版、ドーバー版、ハイドン新全集版まで含まれています。ここでは旧全集版に付けられた番号(ホーボーケンによる番号)の83番までの77曲(1曲として数えるべき「十字架上のキリストの七語」に7曲分の番号が与えられているため)に、後に判明した1曲を加えた78曲につきまして、各曲のデータをまとめました。この78曲の中には偽作と判明した作品など問題作が含まれていますが、それぞれ各曲ごとに注釈を加えてあります。


目 次


表の見方について

番号

弦楽4重奏曲の番号をどうするかは、かなり迷いました。もう既に従来の番号は廃止し、新たな番号を付け直すべき時期に来ていると思われるからです。しかし一般的にはまだまだ従来の番号が使われていますので、従来の番号と本来の番号を併記する形といたします。本末転倒とご指摘があるかも知れませんが、従来の番号を先に書き、その後に本来の番号を(括弧)付きで書く形に統一させていただきます。その際、今では偽作と判明している曲は(偽作)、本来別なジャンルの作品であることが判明している曲は、語彙的にはかなり問題があるのを承知で(編作)と書くことにいたしました。ただ、従来の番号の内、他のジャンルの作品として分類されていて、20世紀に入ってから実は弦楽4重奏曲であったと判明した曲(作品1−0と呼ばれるのが慣習となっています)は第0番とさせていただきます。本来の番号は、今後の研究によって入れ替わる可能性もありそうですが、初期の10曲の曲順が判明した場合と、書かれたことは資料で確実ながら譜面自体が残っていない2曲が、新資料として発見された場合を除けば、ほとんど確定と考えて差し支え無いところまで研究が進んでいます。この不明の2曲は、スペイン王の依頼による3曲の弦楽4重奏曲として書簡に書かれている作品で、そのうちの1曲は、第35番にあたる作品42(この曲は1曲だけ独立して残されています)と考えられています。現存する作品42は書簡の記述の内容から3曲目と考えられますので、不明の2曲に番号を与えるとしたら、第35,36番(従いまして35番以降は2つ送りとなります)ということになります。しかし、当時から現在までのスペインの国情を考え合わせてみますと、楽譜が発見される可能性はかなり低いと考えざるをえませので、ここでは番号から外して考えることにいたします。また、初期の10曲は、作曲順が確定しておりませんが、便宜上従来の番号順を曲順の基本としております。

調性・作品番号・副題

現在使われている作品番号は、さまざまな出版社で使われた番号を寄せ集めたものです。当時は出版社ごとに勝手に独自の番号を用いていましたので、同じ作品に違う番号が使われているケースも多く、当てにならないものです。本来ならば作品番号は廃止されるべきなのですが、弦楽4重奏曲のみは(ハイドン自身が、かなり早い時機から出版に関わっていのが幸いして)、ほぼ間違いなく作曲順になっていますので(同一番号内の入れ替わりと初期の曲順不明の問題を除けば)、現在でも通常的に使用されています。副題は交響曲同様、通常流布していると思われるものは記入いたしました。

その他

上記以外の項目につきましては、交響曲の説明を参照して下さい。