Music for Art Museum / Akira Fukuda[MSQS 0003] 

収録曲目

1.Music for Art Museum 1 [13'06"]
2.Music for Art Museum 2 [08'19"]
3.Music for Art Museum 3 [09'13"]
4.Music for Art Museum 4 [12'32"]

解説

 この作品集は、もともとは文字通り美術館の館内ビデオのBGMとして作られ、実際に館内で流れていたものです。4曲とも、ピアノ・ソロによって録音されています。
 以下はライナーノートの一部です。

 この曲集は、ピアノによる即興演奏を録音したもので、オーバーダビングは一切使われていない。
 この曲集を録音するきっかけは、友人の大倉宏君からの依頼があったからである。彼は、この時期新潟市美術館に勤務していたのだが(1988年当時/ちなみに、その後は美術館を退職し、画廊経営の傍ら文筆活動、リコーダーの演奏等多方面で活躍している)、美術館の館内ビデオの製作の仕事に携わっていて、ビデオに使用するBGMを探していたため、そういう音楽を製作しないかと打診して来たわけである。
 4曲のうち、第1番と第3番が「永遠の旅人 西脇順三郎 詩と絵画」というビデオのBGMとして使用され、翌年の特別展の開催期間中、館内で上映された。
 依頼を受けた当初は、シンセサイザーを用いるなどのプランも考えていたが、結局、ピアノソロというシンプルなスタイルが最も相応しい形だと思うようになった。その間に、第1番だけは多少のプランも出来つつあったが、細かい事を決めてしまうよりも、即興でその場の雰囲気に任せる形の方が良いと考えるようになり、そのまま録音に取り掛かる事にした。第2番以降は、第1番の録音後、その場で思いついたものを1曲ずつ形にしたもので、アイデアと即興の微妙なバランスの上に成立している。
 この場合の即興は、聞いてわかる通り、即興という言葉に本来強くイメージされる、何が飛び出しても構わないという「開いた」即興ではなく、1つのアイデアを追及し、そこへひたすら凝縮していく「閉じた」即興になっている。この事が、この曲集の最大の特徴であり、同時に魅力にもなっている。