焚火 / Akira Fukuda[MSQP 0001] 



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収録曲目

1.こもれ日 [8'00"]
2.First Step from the Sea [7'22"]
3.Shuffle in Hades [4'00"]
4.Morning Gig [4'48"]
5.A Holiday in Rio [5'33"]
6.組曲「焚火」
  a.メインテーマ〜朝 [4'46"]
  b.Artwork [2'54"]
  c.想い出の中に [5'02"]
  d.間奏曲〜In Atelier [2'35"]
  e.Scene〜舞曲 [1'51"]
  f.Time! [3'32"]
  g.夕暮れ〜Finale [6'11"]
  h.メインテーマ [1'39"]

解説

 このCDは、今の段階では、私の唯一のポピュラー系自作自演集です。録音は、1980年頃で、ジャンル的にはフュージョンに近く、ピアノ(エレクトリック)、ドラムス、ベース、ギター、オルガン系キーボード、ストリングス系キーボード、モノフォニック・シンセサイザー、各種打楽器を一人で演奏して多重録音しています。
 実は、当時は十分な録音機材も無く、得意ではない楽器もあり、録音上・演奏上のアラがあるため、必ずしも満足のいく出来ではありません。しかし、曲そのものは自分でも気に入っている曲ばかりです。そのうち再録音する可能性もありますが、こちらはこちらで当時の雰囲気を持っていて、捨てがたい面があります。
 以下は、ライナーからの抜粋です。

 この作品郡は、私にとって1979年頃から1980年にかけての一つの記録となっている。この時期は、本来の現代音楽の作曲・演奏活動と全く並行した形で、ポピュラー系のバンド活動を行っていたのだが、丁度それがいろいろな形で結実していった時期に当たる。数年前からStage Frightというバンドで活動していた(このバンドでの活動は「高澤憲行&福田陽」の一連の作品集としてCD化されている)が、主に時間的な意味で、なかなかメンバーの足並みが揃わなかったため、この頃はメンバーの了解の元、並行して別の活動を模索していた。そして出会ったのがエキスティクスというバンドである。その当時はフュージョン系のコピーバンドだったが、メンバーの向上心が高く、かなりの可能性を感じたため、オリジナル作品を提供する事にした。このバンドは、紆余曲折の後Pride Moreと改名し、1779年後半にかなり精力的な活動を行った。このアルバムの旧A面に当たる5曲は、Pride Moreのレパートリーで、元々はバンドのメンバーに聞かせるデモ演奏だったものを、バンド解散後に改めて録り直したものである。
 かたや旧B面は、一転して、友人の大倉宏が仲間と製作したビデオムービー「焚火」のための音楽になっている。彼は、後にリコーダー+シンセサイザーの作品集を共作するなど、その後の私の創作活動にかなり関わっていた人物だが、その最初のきっかけとなったのが本作品である。作曲の依頼を受けた時は、丁度A面の曲の録音をしている時期で、当然ながら同じ録音環境で平行して作業を進める事となった。結果として、サウンド的には共通点があり、本来別々であるはずのものが、奇しくも1つのアルバムの形にまとまってしまったのは、当初は全く予期していなかった出来事である。

Pride Moreについて
 Pride Moreは、1979年の9月から12月にかけて、つまり実質4ヶ月ほど、新宿・荻窪・吉祥寺あたりを中心に活動していたバンドで、月2〜3回のペースでコンサートを続けていた。音楽的には柔軟さがあり、ゲストを交えたり、楽器の持ち替えがあったり、曲ごとに編成が変わる事も当たり前という、かなり特異なバンド形態を持っていた。当然メンバーの出入りもあったのだが、あるコンサートは休んでも、次に復活するという感じで、感情的なぶつかりは無く、全員音楽を楽しんでいたと思う。しかし、2人いたドラマーとベース奏者が別なバンドに移籍する事になったり、中心メンバーの1人が薬物依存症で強制入院になった事などが重なって、バンドの維持が難しくなり、結果的には短命で終わってしまった。メンバーが移籍した先は、1つがストリート・スライダーズであり、もう1つが布袋寅泰のバンド(ボウイ結成以前)であったと言う事はつまり、日本のポピュラー音楽史の裏面を担うバンドの1つであったと言えるだろう。

ビデオムービー「焚火」について
 この作品は、大倉が東京藝術大学美術学部在籍中に、仲間と(作品中にクレジットされている人数は彼を含めて4人)製作したもので、当初から公開は考えていなかったと思う。言い換えれば、製作手順や撮影技術の習得を目標とした習作という意味合いだろう。ただし、学校の本格的な機材を使う事が可能だったという意味もあり、単なる個人的なホームビデオムービーとは一線を画したものとなっている。内容的には、ある1日のキャンパスライフを追ったもので、ストーリーそのものよりも、構図・アングル・カメラワーク・被写体(登場人物そのものよりも小物グッズやオブジェの類)にこだわった、一種アートな作品に仕上がっている。なお、音楽を頼まれた時点で、既に編集作業はほぼ完了していたので、タイムテーブルを見ながら作曲する形となった。時計を見ながらの作曲や演奏は初めての経験だった。