Synthesized Classics / Akira Fukuda[MSQS 0014-5]

 


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収録曲目

ディスク1
1.組曲「くるみ割り人形」(チャイコフスキー)
  a.小序曲
  b.行進曲
  c.こんぺいとうの踊り
  d.トレパック
  e.アラビアの踊り
  f.中国の踊り
  g.あし笛の踊り
  h.花のワルツ
2.組曲「白鳥の湖」(チャイコフスキー)
  a.情景
  b.ワルツ
  c.白鳥の踊り
  d.情景
  e.ハンガリー舞曲
  f.情景

ディスク2
1.組曲「コーカサスの風景」(イワノフ)
  a.山の峠にて
  b.故郷の村にて
  c.日没
  d.酋長の行列
2.交響曲第40番ト短調(モーツァルト)
  a.第1楽章
  b.第2楽章
  c.第3楽章
  d.第4楽章

解説

 このアルバムでは、Rolandのポリフォニック・シンセサイザーJupiter-8が使用されています。Jupiter-8は、発売当時は名機の誉れ高い画期的なシンセサイザーで、現在でもソフトウェア・シンセサイザーという形でなら立派に現役で活躍しています。その、Jupiter-8で、どこまでオーケストラ・サウンドを再現出来るか、そしてその場合の録音の手順をどうすれば良いか、というある種の、研究、実験の目的ためにレコーディングしてみたものです。
 最初に取り上げた曲は、1曲がそれほど長くなく、バラエティに富んでいる手頃な曲として、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」でした。録音の手順を考えてみると、最初にガイドとしてのメトロノーム音が必要になりますが、その目的のために、Rolandのリズム・コンポーザーTR-808を使用する事にしました。曲の拍子やテンポの変化を予めプログラムし、4チャンネルのMTRの1チャンネルに録音し、それに合わせて他の楽器音を録音していく方法を取りました。楽器音は、楽譜にある楽器ほとんど全部を自分でプログラムし、全てを手で弾いています。1部の打楽器音を省略してありますが、それ以外はオーケストラの全てのパートを録音しています。ホルン4本のユニゾンなんてケースも4本分の録音をしています。一方、弦楽器はストリングス・アンサンブル系の音色を作り、原則として1パート1回ずつ録音しています。ただし、ソロ(「白鳥の湖」で出てきます)は別の音色を用意して、別に録音しています。
 「くるみ割り人形」は、録音の手順をいろいろ変えて実験していますが、成功した曲も失敗した曲もあります。失敗は、ノイズの処理が上手くいかなかったケース、音の歪が出てしまったケース、タイミングが取り難くてアンサンブルが乱れているケース、楽器音同士のバランスが変なケースなどがあります。
 次に録音したのは、「白鳥の湖」です。こちらは1曲が長く複雑なので、いろいろ新しいテクニックを考えながら録音しました。「くるみ割り人形」で省略した打楽器音も何種類か作ってみました。
 最初はこの2曲をテープの両面に入れるつもりでしたが、録音時間に意外に差があるため、それぞれを長さの違うテープの入れて、それぞれのB面用の曲をさらに録音する事にしました。そこで登場したのが「コーカサスの風景」と「ト短調交響曲」です。単純に好きな曲だったからという意味です。「コーカサスの風景」では、それまでメトロノーム音だけで使っていた、TR-808の打楽器音を使う事にしました。ト短調交響曲は、微妙なテンポの変化をプログラムしてみました。この辺は隠し味の以上の意味は無いでしょう。
 こうして、2本のテープとして製作したものですが、CD化に当たっては、一連の作品として2枚組に収める事にいたしました。上記注意書きにも書きましたが、この作品については、実費以上の対価を求めるつもりはありません。商用目的の転載・二次使用でない限り、コピー・複製等自由にしていただいて構いません。